つくば実習2016_剣道_指導案20160505 - page 2

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単元構成・教材作成の意図
1)
戦術学習モデルの導入
従来の球技の授業では、実際のゲームと無関係に個々の技術が指導され、それらがまるでゲームに生かされ
ていないケースが多かった。また、これらの能力育成の目標を放棄して、低レベルのゲームを楽しむだけで終
わっている授業も少なくなかった。そこで、このような球技授業の問題状況を打破する試みとして、戦術学習
モデルがグリフィンによって提唱された
(
グリフィン
,1999)
戦術学習モデルは、
1982
年に英国のラフバラ大学の
Bunker
Thorpe
によって提唱された
TGfU(Teaching
Games forUnderstanding)
を始まりとして、今日までその理論的・実践的研究が積み重ねられてきた。また
TGfU
は、技術練習の繰り返しよりも子どものゲーム理解を重視し、技術の必要性や関連を子ども達に見通しを
持たせるだけでなく、子ども達の戦術の鑑賞能力の向上をも期待するものであった
(
グリフィン
,1999)
安倍
(2014)
は、中学校体育授業のハンドボール単元を対象に、一単位時間の中で「ゲーム」→「発問」→「練
習」→「ゲーム」のゲームを挟んだ学習過程に基づく授業を実践し、この戦術学習モデルに基づく授業を計画
実施するための実践的知識と生徒の学習成果を明らかにしようとした。
前田
(2015)
は、安倍
(2014)
の実践を参照し、これを小学校体育授業に適用できるようした。また、特に技術的
な練習も位置付けるために、授業の導入として準備運動に加えてスキルアップ練習を設定した。つまり、前述
の流れに沿った形で記述するならば、一つの授業を「スキルアップ」→「ゲーム」→「発問」→「練習」→「ゲ
ーム」という流れで構成した。
本単元では、前田
(2015)
の考えを基にその特徴に当てはめて単元を構成することにした。
2)
スポーツ教育モデルの導入
スポーツ教育モデル
(
シーデントップ
,2003)
はアメリカのシーデントップによって提唱されたモデルである。ス
ポーツの教育モデルの目的は「子どもたちを真の意味でのプレイヤーになるように育成すること」である。真の
意味でのプレイヤーとは、満足にゲームに参加できる技能と戦術を身に付けた「有能な」スポーツ人、ルール・
儀礼・伝統等を理解し、見識を備えた「教養のある」スポーツ人、スポーツ文化を維持・保護・発展できる「情
熱的な」スポーツ人を指す。
また、スポーツ教育モデルの具体的な目標はスポーツへの参加を通して①技能と体力、②戦術的能力、③計画
と運営、④リーダーシップ、⑤協力的活動、⑥儀礼の尊重、⑦スポーツの問題解決能力、⑧実践的な知識、⑨ス
ポーツへの自発的な参加、を向上させることである。スポーツ教育モデルの基本的特徴はシーズン、チームへの
所属、公式試合、記録の保持、祭典性、クライマックスのイベントの、
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つの要素がスポーツの実践へと繋がる
ことである。
本単元ではこれらの要素を含めて単元を構成することにした。
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