つくば実習2016_剣道_指導案20160505 - page 4

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本単元において身に付けてほしい能力は、ボール運動系における技能の中の「ボールを持たないときの動き」
である。この「ボールを持たないときの動き」に関しては、「空間・ボールの落下点・目標(区域や塁など)に
走り込む、味方をサポートする、相手のプレーヤーをマークするなど、ボール操作に至るための動きや守備にか
かわる動きの技能」(文部科学省,2008)のことである。
本単元においては、ボールではなくディスクを用いるため、「ディスクを持たないときの動き」と記述を変更
し、「ディスクを持たないときの動き」を習得するために、前述した戦術学習の考えの基、「ゲーム→発問→練
習→ゲーム」という形で展開する授業を単元計画の中に取り入れている。
3)アルティメットと戦術学習
アルティメットは、スローとキャッチの基礎技能を習得すれば、サッカーやバスケットボールなどの他の球技
と比較してゲームを行うことが比較的容易である。また、アルティメットは経験者も少なく、身体接触も禁止さ
れているため、これまでの球技が苦手であった学習者にとっても意欲的に活動することの出来る種目であると考
えられる。
さらに、身体接触が少ないという点や、2人以上で1人を取り囲むことが禁止されている点からは、さらに重要
な点を見出すことが出来る。それは、技能差が原因で作戦、戦術が失敗に終わる可能性が低くなるという点であ
る。サッカーやバスケットボールなどでは、基本的な技能の難しさもさることながら、身体接触や、1人に対し
て何人かがマークするといった場面が必ずと言っていいほど見受けられる。そういった場面では、技能の低い学
習者は、時間をかけて立てた作戦や戦術を実践することなく、ボールを捕られてしまうといった可能性がある。
しかし、前述したとおり、アルティメットにおいて身体接触は存在せず、かつ、ディスク保持者に対して2人
以上で取り囲むことや走路を妨害することも禁止されているため、作戦や戦術を学び、実践しやすいことが考え
られ、戦術学習を学び、他の球技へと活かしていく教材として、アルティメットは適していると考えた。
4)スポーツ教育モデルの導入
スポーツ教育モデル(シーデントップ,2003)はアメリカのシーデントップによって提唱されたモデルである。
スポーツの教育モデルの目的は「子どもたちを真の意味でのプレーヤーになるように育成すること」である。真
の意味でのプレーヤーとは、満足にゲームに参加できる技能と戦術を身に付けた「有能な」スポーツ人、ルール・
儀礼・伝統等を理解し、見識を備えた「教養のある」スポーツ人、スポーツ文化を維持・保護・発展できる「情
熱的な」スポーツ人を指す。また、スポーツ教育モデルの具体的な目標はスポーツへの参加を通して①技能と体
力、②戦術的能力、③計画と運営、④リーダーシップ、⑤協力的活動、⑥儀礼の尊重、⑦スポーツの問題解決能
力、⑧実践的な知識、⑨スポーツへの自発的な参加、を向上させることである。スポーツ教育モデルの基本的特
徴はシーズン、チームへの所属、公式試合、記録の保持、祭典性、クライマックスのイベントの、6つの要素が
スポーツの実践へと繋がることである。本単元ではこれらの要素を含めて単元を構成することにした。
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